効果的に使おう!
接着剤を選ぶためのチェックポイント(コニシ接着剤読本より抜粋)
①何と何を接着するか?
何と何を接着しようとしているのか?被着材の材質や接着面の状態はどうなのか?など条件下によって使用する接着剤は異なります。
②使用目的は何ですか?
A、接着 B、充てん接着 C、充てん
単に接着だけを期待するのか?接着と同時に充てんもきたいするのか。また半永久的な接着を期待するのかなどに注意します。
③接着剤を使用後にどのような条件の下に置かれるか?
A、荷重 B、温度(高温、低温、熱劣化、冷熱繰り返し)・衝撃 C、薬品類(溶剤・油・水・薬品) D、屋外条件(日光、雨水、など) E、湿度
はじめは良くついたのに、後ではがれたという失敗の原因は、接着後の使用条件を考慮しなかった場合に多いです。
●一般に接着は、「引張り」「せん断」「に強く、「引き裂き」「はく離」には弱いです。合成樹脂を主成分とした接着剤の中には、接着層が硬くなり、被着体の変化についていけないものがあります。特にエポキシ系やシアノアクリレート系は硬化すると、接着層が非常に硬くなり、はく離や引き裂きの力が加わるところには不向きです。この場合、ゴム系接着剤が比較的安定しています。
●衝撃の問題。接着剤の硬さと関係し、原則として硬い接着層のものほどもろく、衝撃に弱いと言えます。例えば、瞬間接着剤などは衝撃に弱く、ゴム系接着剤は比較的衝撃につよいと言えます。瞬間接着剤でも耐衝撃用のものもあります。
④作業条件はどうか?
●一般的には次のような接着剤が適しています。
1)作業が簡易な1液型 2)溶剤の引火性や中毒の少ない水性形 3)少ない塗布量で良く接着し、圧締時間も室温で短くて済む接着剤
※堆積可能時間があまり短いと使いにくく、必要圧締時間が長いと作業能率が悪くなります。
●流れ作業が可能な接着剤(分~秒単位で接着)もあります。
例えばシアノアクリレート系、、合成ゴム系などです。合成ゴム系は引火性や中毒が心配な溶剤を含み、両面塗布という制約がありますが、短時間の圧締で接着できる点と接着可能な対象が比較的広い点から多くの用途に使用されています。
⑤接着面積とその形状
良い接着設計をするためには、接着剤の長所・短所を知ることが大切で、接着剤は他の接合方法(リベット、ビス釘打ち、溶接など)と比べて次のような長短所があります。
良い点 ●せん断強さが大きい ●疲労に強い ●水や空気のシールができる ●複合材料でも接合できる ●広い面や薄い板でも接着できる ●生産速度が速い ●応力集中が起こらない ●外観、美観を損なわない
悪い点 ●一般的にはく離に弱い ●点接合ができない(面積が必要) ●耐熱性に限度がある ●簡単にはがすことができない ●圧締時間を必要とする場合が多い
⑥その他(臭い・色・毒性・貯蔵安定性など)
これらについては、それぞれの説明書や注意書きなどで説明しています。毒性などの問題については「家庭用品品質表示法」、工業用では「労働安全衛生法」や「消防法に基づく化字品危険物分類」などによつて表示が義務付けられており、注意を要するものについては、扱い方などが記載されています。また、工場管理(作業労働者の安全管理)のための製品安全データシート(MSDS)にも詳しく記載されています。